「絡まる指」

 


目を閉じた。

記憶を辿るように・・・。

 

彼の瞳。

彼の唇。

彼の髪。

彼の胸。

彼の背中。

 

順番に思い浮かべ、零れるのは甘い吐息。

 

そして、最後に思い出したのは、自分が一番好きな・・・

 

彼の手。

その指先。

 

時に優しく、時に悪戯に、わたくしを弄ぶ、その指先。

その指先に翻弄され、私は何度、甘い夢を見ただろう。

 

髪を撫で、そのまま髪に指を絡めてゆく、その仕草だけで、胸が高鳴ってゆく自分。

 

口からは零れることのない、甘い言葉を、その指先は囁いているようで、

いつも優しくわたくしに触れる。

 

会えない日々は、毎夜、その指先を思い浮かべては、身体を熱くし、自分を慰める。

 

今夜もきっと彼の指先に翻弄されるのだろう。

  

Fin

 

「あとがき」
「あいうえお作文」、「か行」に突入です。今回は、「か」。
ちょいっとHな感じ。大人なヒイリリ、ですかね。
次回は「き」。「き」は、「キス」かなぁ、無難に。でも、まだわかりません。

出来上がりをお楽しみに。

 

2004.10.24希砂羅