「ん・・・」

  

キスをしただけで、眩暈を起こしそうになった。

何て・・・危険な人。

ふらつく足元。

今にも床に崩れ落ちそうなわたくしの腰を、その力強い手が支える。

 

優しく触れた唇は、まるで嘘のように凶暴になる。

けれど・・・それが嫌じゃないのは何故でしょう?

 

「ん・・・」

角度を変えては何度も唇を食む。

自分のルージュの味が分かる程に。

何度も、その唇を愛して。

何も考えられない程に。

甘くも激しいその口付けに。

酔っては眩暈を起こす。

 

危険な人。

そう分かっていても、近づかずにはいられなかった。

その瞳に心を奪われて。

その手に体を奪われて。

けれど・・・。

最後に求めたのはわたくし・・・。

 

これを過ちというか、愛というか。

 

 それは誰にもわからない。

 

「ん・・・」

 

知っているのは、この吐息の甘さだけ・・・。

 

Fin

 「あとがき」
今回は「わ行」の「わ」です。
ということで、「あいうえお作文」、完結でーす!!
ここまで辿り着くのに4ヶ月・・・。こんなに時間がかかるとは、正直思いませんでした。
いやはや、びっくり。でも、よく頑張ったと思います。自分で自分を褒めちゃいます。
最後は甘〜い話で終われたので、なお嬉しい。ありがとうございました!
2005,1,22 希砂羅