「凛として」

  

背筋をピンッと伸ばし、視線を真っ直ぐに向ける。

揺るがない瞳は、輝く未来を見つめている。

そんな彼女に惹かれた。

 

彼女はいつ、どこで泣くのだろう。

そんなことを思うこともあった。

簡単に涙を人に見せるほど、彼女は弱くないと。

そう思う自分もいた。

 

だが、その日、彼女は泣いていた。

小さく肩を震わせ、唇を噛んで、声を殺して。

小さな嗚咽を漏らし、けれど、それを気付かれないようにと、必死に深呼吸を繰り返す。

 

倒れるのではないかと思うほど、彼女は動き回る。

寝ている時間が無いほどに。

心休まる時間は皆無に近いのではないだろうか。

 

けれど、彼女がそれを訴えることは、ほとんどない。

 

深呼吸を繰り返し、心を落ち着かせた彼女は、背筋をピンッと伸ばし、

真っ直ぐに視線を投げる。

微笑を浮かべて。

 

凛として。

 

それが彼女を強くする。

誰もが憧れる女性へと。

 

そして、今日も、彼女は未来を見つめ、歩き出す。

 

凛として・・・。

 

Fin
「あとがき」
今回は「ら行」の「り」です。
うーん・・・。難しい。「ら行」はやっぱり難しいですね。難解です。
そして、今回も短いです。続かない。続けれない。本当に難しいのよ。
だって、言葉が出てこないんだもん。
 今回の話。そうですね、私が描くリリーナのイメージは、
「強くて、凛としていて、けれど、弱くも脆くもあって
。だけど、それを乗り越える力も備えている」みたいな、憧れを抱けるような、そんなイメージなんですよね。
だから、その美しさ(外見も内面も)をどうやって表現しようか、毎回悩みますね。
私が感じているリリーナ像をヒイロの想いとして文に変換するわけで、そうなると、また難しい。
でも、頑張りたいの。

次回も頑張るぞ!!
2005.1.14 希砂羅