「No reason」

 

誰かを好きになることに、いちいち理由はいらない。

そう、わたくしは思う。

理由なんて、後付けに過ぎない。

好きなってから、彼のここが好き、あれが好き、そんな風に思うものだ。

 

今、隣にいる彼に、その手を握り返してくれることを期待して、手を伸ばして・・・。

彼は理由を問うかもしれない。

けれど、ただ、そうしたかっただけ。

そう、答えるしか出来ないだろう。

理由なんて、いちいち考えていられない。

自分でも、何故かなんてわからないもの。

 

彼のどこが好きかなんて、すぐに答えることは出来ない。

だけど、好き。

理由はわからなくても、好き。

その気持ちで、自分は満足してしまう。

 

今、隣にいる彼に、キスをせがんでも、その理由を彼に問われても、私には答えられない。

ただ、したいだけ。

理由なんてわからない。

彼の困惑した顔を見て、私もきっと困ったように笑ってしまうかもしれない。

自分でも、わからないのだから。

 

人を好きになることに、理由はいらない。

 

そう思うのは、わたくしだけかしら。

 

Fin

 

「あとがき」

今回は、「な行」のラスト、「の」です。うん、「な行」の中で一番難しかったですね。
「No」が付く言葉をとりあえず探して、一番しっくり来たのが「No reason」でした。
「理由はいらない」。ほぉ・・・っていう感じですね。もう、何が何だか。
どこがヒイリリなんだよ!と怒られそうな、そんな出来です。ごめんなさい。いっぱいいっぱいでした。

さて、次からは「は行」ですね。ようやく、後半戦ですね。頑張ります。
2004.11.30 希砂羅