「願いは果てしなく」

 

両手を組んで、目を閉じて、お祈りを・・・。

いいえ、これはきっと、わたくしの願い。

どうか、この世界が平和でありますように。

どうか、あの人がこれからを幸せに生きていけますように。

どうか・・・いつまでもあの人の側にいられますように。

 

願いは果てしなく、目を閉じるたびに、それは口をついて出る。

叶わぬ願いでも、きっと、願わずにはいられない。

 

見上げた夜空。

光る星が、切なさに揺れるわたくしの心を、優しく包むように輝いている。

自分勝手ともとれる願いが、果てしなく零れる。

あなたは今、何を思っているでしょうか。

同じ夜空を見ているでしょうか。

  

「お前はもう自由だ」と、足に嵌められていた鎖を切られたような、そんな気分だ。

“戦い”は終わった・・・のだろう。

けれど、「自由」を手に入れた兵士は、これからをどう生きればいいのだろう。

自分のために生きることなど、自分は知らない。

しかし、その「鎖」を切らせたのも、また自分なのだ。

戦いを終わらせたのは、この手なのだ。

 

あの日、見上げた「宇宙」は、とても広くて美しかった。

 

そんなことをふと思い出す。

 

平和ある未来へ歩み始めた人々に、もう地獄は見せられない。

そんなことも思った。

戦いはもう、必要ないと。

 

それは自分の「願い」なのか、それとも「言い訳」なのか。

彼女だったら、どんな答えをくれるだろう。

 

願いは果てしなく、頭の中をくるくる回る。

狂いそうなほどに、速い速度で。

 

願いは果てしなく・・・。

 

Fin

「あとがき」
今回は「な行」の「ね」です。「寝顔」とか「眠り」とか、
最初はそんな「眠り」系の言葉で書こうかなとも思ったんですが、
「願い」という単語が浮かんだので、とりあえず、あんまり考えずに書き始めました。

リリーナ編は、まあまあスラスラと書けたんですが、ヒイロ編は、つかえながら書いてました。
ちょっと暗めですね。

さて、次回は「な行」のラスト、「の」ですね。「の」・・・。
また、ふっと頭に降ってくることを願います。

2004.11.28 希砂羅