「プレゼント」





「あなたは、なにを望みますか?ヒイロ」
彼女は俺を真っ直ぐに見つめ、問いかける。
「教えて、ヒイロ。あなたの望みを・・・。
わたくしが、あなたへしてあげられることはないの?」
「・・・お前が側にいればいい」
「・・・欲がないのね、ヒイロは」
儚げに微笑んで、ため息をつく。
「欲・・・?俺にとっては、十分な欲だが?」
「わたくしが側にいることがですか?」
「そうだ」
「わたくしを、求めてくださるの?」
「・・・十分すぎるくらいにな」
「嬉しいわ。・・・あなたへのプレゼントは決まりました」
赤く頬を染め、彼女が微笑んだ。
その微笑みを見つめ、心が満ちていくのを感じた、ある日の昼下がり。








「あとがき」
夜、眠れなくて、眠れるような静かな曲でも聞こうかと、hydeさんのソロ曲「evergreen」を聞いていたら、ふっと冒頭のリリーナのセリフが浮かびました。で、書きたくなって、布団から飛び起きて、パソコンを開きました。
 曲とは全然関係ない内容ではありますが、甘い話に仕上がりました。さて、リリーナからのヒイロへの贈り物は、果たして何でしょうか。作者のみぞ知る・・・。

2004.3.29 希砂羅