「Sweet Morning」


甘い香りに目を覚ます。
視界に入る、亜麻色の髪。
一房掴んで、鼻に近づける。
甘い香りの正体に、そっと口付ける。
そのまま指に絡ませ、弄ぶ。

「・・・う・・・ん・・・」
甘い香りの亜麻色の髪の持ち主がそっと目を覚ます。
目をパチパチと瞬いて、俺を真っ直ぐに見つめる。
さっと頬を甘く染めて。
手を伸ばし、その頬に触れた。
「おはよ・・んっ」
口を開いた彼女にそっと口付ける。
軽く舌を絡めて、すぐに解放する。
「おはよう、リリーナ」
「おはよう・・・ヒイロ・・・」
淡く染まっていた彼女の頬は、今は朱に近い。
瞳は潤み、唇からは甘い吐息が零れる。


伸ばした手を、彼女は拒まない。
少し震えながらも、彼女は素直にそれを受け入れる。
優しく触れる。
怖い思いはさせたくない。
彼女には、優しくなれる。
大切にしたいと思うから。


彼女と迎える朝は、彼女の優しく甘い香りに包まれながら、目覚める。
彼女の優しさが、俺の心を優しくさせる。

甘い甘い蜜のような・・・甘い朝。

Fin

「あとがき」
久しぶりに、すんごく甘い話を書きたくなって、こんなものを書いてみました。
ここ最近は、ちょっと暗めの話しか思い浮かばなくて、少々落ち込んでいたのですが、何とか復活した模様。とは言っても万全ではないですが。ずっと書いていると、書けなくなった時、すごく不安になって怖くなるんですが、最近は、書けなくても平気になってきました。書きたい時に書くのが一番です。と、前向きに思えたりして。少し成長したかしら。

2004.2.16 希砂羅