「距離」

暗闇の中、あなたを探す。

「ヒイロ・・・?」
暗闇は嫌い。
暗闇は怖い・・・。

彼はそれを知っているはずなのに。
暗闇から、彼はいつもわたくしを守ってくれるのに・・・。

どうして今は・・・側にいてくれないの?


暗闇の中、お前を探す。

「リリーナ・・・?」
彼女は暗闇を嫌う。
怖いからと・・・怯えた目をして。

自分はそれを知っている。
怯える彼女を守れるのは、自分だけだと・・・。

それなのに今は・・・どうして側にいてやれない?



ため息をつく。
意味も無く。
涙が零れるのは、弱いから・・・?


ため息をつく。
意味も無く。
泣きそうになるのは、自分が弱いから・・・?

すれ違う。
彼と彼女。

側にいられない寂しさを誤魔化すように、仕事に打ち込む。

“似た者同士”と周りは言う。

“真面目すぎる2人”とも・・・。


と、そんなことを互いに考えていた5年前。


「ヒイロ」
「リリーナ」

今はこんなにも近くで名前を呼び合い、見詰め合える距離にいる。

「素敵ね」
彼女が微笑む。
「何のことだ」
彼はいつものポーカーフェィス。
「大好きな人とこうして側にいられる時間を手に入れられたこと」
彼女は幸せそうに微笑み、大好きな彼にキスの贈り物。
「俺も・・・そう思う」
彼はポーカーフェィスを少しだけ崩し、彼女にキスのお返しを。


月日が変えた、2人の距離。

変えようとしたのは、2人の互いを想う心。



「あとがき」
何じゃこりゃー。
という感じです。また、わけのわからないものを・・・。
最後の2人は、結婚して・・・るのかな。
まあ、どちらでもいいんですけど、2人が幸せなら。

2004.2.24 希砂羅