「最高のプレゼント」
 

あの日、あなたがくれたのは、わたくしにとって“最高のプレゼント”。 

「まだ、持っていたのか」

彼は“それ”を手に取り、少し目を細めた。

「大切なものですから」

「そうなのか」

「ええ、とっても大切なものです。あなたから初めていただいた贈り物ですもの」

「ありきたりなものだ」

「まさか・・・。これは世界でたった一つのものよ?

あなたが初めてわたくしにくれた、世界でたった一つのもの、ですもの」

彼はしばらく“それ”を手に取り眺めていたが、やがて元の位置に戻すと、

改めてわたくしを見つめた。

「何ですか?」

彼はすぐに被りを振り、いや、とすぐに顔を逸らした。

「ヒイロ。あなたからいただいたものは全て、

わたくしにとって最高のプレゼントなのです。それは、覚えておいてください」

「・・・そうか」

短い沈黙の後、彼は短く答えた。

 

“こうしてあなたと時間を共有できる今も、

わたくしにとって最高のプレゼントです、ヒイロ”。

 

心の中でそっとつぶやいた。

 

Fin

「あとがき」
やっと書けた・・・。
はい、今回は「さ行」の「さ」なんですが、書き上げるまでの時間の長いこと長いこと。
「さ=さよなら」しか浮かばず、半分、絶望的だったんですが、
ようやく「最高」という言葉が頭のポンと浮かんだので命拾いしました。

内容はともあれ、書けたことで満足してしまいました・・・。
さて、次回は「し」か・・・。また難しいなぁ。

2004.11.9希砂羅