花言葉シリーズ



「アイリス〜和解〜」


「握手をしましょう、ヒイロ。それで、仲直りをしましょう」
少しだけ硬さを残した口調で彼女はそう言うと、その手を差し伸べた。
「二人して怒っていては、埒があかないもの。だから、ね?」
最後は少し、笑顔を作って。
「本来は、俺が先にそれを言うべきだな。約束を守れなかったのは俺だ」
彼女は笑顔で顔を振る。
「それは、もう良いのです。もう、怒ってはいないから。あなたも、そんな怖い顔をしないでください。それに、あなたは、約束をきちんと覚えていてくれたでしょう?忘れていたわけではないのだもの。守れなかったとは言っても、守ろうとはしてくれたわ。その気持ちだけで、わたくしは十分です」
「・・・本当に、許せるか?」
「はい。あなたこそ、些細なことで怒ってしまったわたくしを許せます?」
「・・・ああ」
「では、握手を。それで、仲直りです」
はい、と彼女は再度、その手を差し出す。
その手をそっと握り返す。
彼女はにっこり笑うと、ありがとう、と小さく言った。

Fin

「あとがき」
以前、「あいうえお作文」なるものをやりました。それで味を占めたわけではありませんが、「花言葉」を使ってオブニバスみたいな形でSSを書けないかなぁと考えていました。んで、いざ、挑戦!第1弾は「アイリス」です。何故かというと、いつも花言葉を調べる時に使っている本の1番最初に載っていたのがアイリスだったので。単純です。たぶん、このシリーズも、「あいうえお作文」同様、1話1話が短いかも・・・。今回がいい例です。オチは何処?っていう感じですが、何か終わりにしてもよいかな、と思ってしまったので、これで完結です。では、次回!

2006.5.11 希砂羅