「人はそれを何と呼ぶ」


「来い」
静かに、けれど激しく、彼は私を求める。
その声は、私の胸に深く浸透し、酔わせる。
逆らえない。
私は・・・彼の手に堕ちた。


無意識に、彼を求めてしまう自分がいる。
仕事でミスをして落ち込んだ時、父との思い出を振り返った時、心のどこかに、必ず彼がいる。
何故だろう?
いつも考える。
考える必要はないのに。
考えてしまう。
何故だろう?と。
この感情は何だろう?
息が詰まる程に、狂おしく、彼を求める、この感情を・・・何と呼べばいいのだろう。


彼の瞳を、固く閉ざされた唇を、傷ついた手を、思い出す度、胸が熱い。
目を閉じて、彼を思えば、うるさいほどに胸は高鳴って・・・。

これを、人は何と呼ぶ・・・?

Fin

「あとがき」
寝る前、何となく思いついて携帯で自分のパソコンにメールで送信・・・したら、気になってしまってちょこっと続きを書いたはいいが続かなくて・・・。ここまで書くのに5日くらいはかかったかな?結局、曖昧な形で終わりにしてしまいましたが、これはこれでいいんじゃないかと・・・。駄目?

2005.11.28 希砂羅