「夏爛漫 恋爛漫 愛爛漫」

(その後・・・)(ヒイロサイド※18禁なり)

 彼女の要望により、部屋の厚いカーテンを閉め、部屋をなるべく暗くする。

ベッドの上、彼女の身体に覆いかぶさりながら、彼女の髪を撫で、頬を撫で、首筋を撫でる。
静かに流れる時間。
 感じるのは互いの吐息と体温。
「キスして・・・」
彼女の手が伸びて、俺の頬に触れる。
「ヒイロ・・・」
彼女の口から俺の名前が出るたびに、鼓動が鳴る。
そっと顔を近づけると、彼女は瞳を閉じる。
その瞼にキスをして、唇に口付ける。
触れるだけの口付け。
唇を離すと、彼女がそっと瞳を開く。
淡く微笑む。
「やさしいのね・・・」
「さっきは泣かせたからな」
「・・・わたくしも、あなたを泣かせたわ」
「・・・・・・」
彼女の言葉に否定はしない。
俺の感情がもっと豊かだったなら、あの時、俺は泣いていただろう。
「会いたかった・・・ずっと・・・」
「ああ・・・」
「あなたのことを考えない日はなかったわ。・・・本当はね、強引なあなたも大好きなの」
彼女が恥ずかしそうに頬を染める。
「でも、それが怖い時もある。だから・・・さっきはごめんなさい。あなたのこと、何も考えず・・・。あなたを傷つけるつもりはなかったの」
「もういい・・・」
「許してくれるの?」
「お前は俺を許してくれただろう?それに、先にお前を怒らせたのは俺だ」
「もういいの・・・」
「ああ・・・」
彼女の首筋に唇を落とす。
「あっ・・・」
強引なことはしない。
彼女を傷つけたくはない。
やさしくしたい。
「ヒイロ・・・」
彼女の腕が首に絡まる。
そのまま胸元へ唇を滑らす。
ひとつ・・・ふたつ・・・みっつ・・・。
彼女のブラウスのボタンを焦らすようにゆっくりと外してゆく。

 先に溺れたのは、俺の方かもしれない。
彼女の魅力に捕らわれたのは・・・。

彼女の白い胸に赤い跡を付けながら、彼女の香りに酔いしれていく。
どこまでも・・・。
彼女の肌がだんだんと熱を帯びてくる。
下着を外し、赤い蕾に口付ける。
彼女の甘く小さな悲鳴が俺の耳を侵す。
誰にも触れさせたくはない。
知っているのは俺だけでいい。
どこまでも強くなる独占欲。

 自分も服を脱いで彼女の前に肌を晒す。
彼女の手を掴み、そっと胸板へ導く。
「ヒイロ・・・?」
不思議そうな彼女の顔。
「触れてみろ・・・・、お前も」
彼女は言われた通りに、そっと手を這わす。
「汗・・・」
「ああ・・・。これが答えだ」
彼女の顔が赤くなる。
「ヒイロったら・・・」
「実証してやると言っただろう?」
「・・・ばか」
そう言う彼女の顔は笑っている。
「これで満足してもらっては困る」
「え?」
「まだまだ時間はたっぷりあるからな」
「ヒイロ・・・あっ・・・」
彼女の太股に手を這わす。
しばらく太股を撫で回し、下着の上から彼女の中心に触れる。
「もう充分潤ってる・・・」
「い、言わないで・・・」
彼女が身体をよじる。
「やっ・・・あっん・・・」
中心を下着の上から指でゆっくりとなぞる。
さらに潤いが増す。
下着の端に指を掛け、彼女が抵抗する前に引き降ろした。
「やっ・・・見ないで・・・」
彼女が顔を逸らし、枕に半ば顔を埋める。
その仕草にさえ、惹かれる。
指で触れると、熱かった・・・。
ゆっくりと指を挿入する。
「はっ・・・あっ・・・やっ・・・」
水音を立てるそこに、彼女はいやいやをするように首を振る。
指でそこを暴きながら、唇は胸の膨らみを吸う。
乱れる彼女を見つめながら、自分の限界を感じる。
だが、もう少し彼女を焦らしたい。
たまにしか見られない乱れる彼女をもう少し見ていたい。

「ヒイロっ・・・もう・・・。お願い・・・」
「何を?」
「焦らさないで・・・」
「もう欲しいのか?」
「っ!」
彼女の顔が羞恥に染まる。
「いじわる言わないで・・・」
思わず笑みが浮かんでしまう。
もう少し彼女を焦らすのもいいが、自分もそろそろ限界だった。
彼女の足を押し広げ、彼女の入り口に自分の先端を含ませる。
「あっ・・・」
それだけでも彼女は感じてしまったらしい。
ゆっくりと挿入する。
「ふっあっ・・・ああっ・・・」
彼女の甘い悲鳴。
暖かい彼女の中。
彼女と繋がる瞬間に高ぶる鼓動。

彼女を手放せない。
手放すつもりもない。
会うたびに求めてしまう。
彼女を自分だけのものにしたい。


「昼間から何て・・・やっぱりふしだらよ」
まだ日の高い外に目を向けながら、彼女が言う。
男と女の情事は夜のもの、という考えが彼女にはあるらしい。
「誘ったのはお前だろう?」
「そ、それは・・・そうですけど・・・」
数時間前の自分の言った言葉を思い出し、彼女の頬が羞恥に染まる。
「でも・・・」
「夜は短い」
「え?」
「もっと・・・ずっと・・・お前を抱いていたい」
「ヒイロ・・・あっ・・・」
彼女の身体を抱き寄せ、その胸元に顔を埋める。
何もしない。
彼女の鼓動を感じ、安心する。
「ヒイロ・・・」
そんな俺を彼女の腕が抱きしめる。
「くすくすっ・・・」
頭に降る彼女の笑い声。
「何だ」
「くすぐったいの、あなたの髪」
彼女の細い指が髪に触れる。
「わたくし、あなたに抱かれるの、好きよ」
「何だ、突然」
「心が満たされるの。ただ、身体を重ねるだけじゃない、心も重なるのがわかるから・・・。これからもずっと・・・わたくしを離さないでね」
「当たり前だ」
「ヒイロ・・・」
「お前が望むなら・・・」
「本当に?」
「ああ・・・」
「嬉しい・・・」
彼女の声が涙声になる。
見上げると、涙を浮かべ微笑む彼女がいた。
「リリーナ・・・」
手を伸ばし、頬に触れると、瞳から涙が零れた。
「この涙は・・・?」
「嬉しいからよ・・・」
俺を抱きしめる手に力が篭る。
「あなたが大好き・・・」
「リリーナ・・・」
彼女の手が離れ、彼女の唇が俺の唇に重なる。
「切ないわ」
唇を離し、彼女が言葉を零す。
「明日には、また、別々の場所で、別々の時間を過ごさなければならないなんて・・・」
「ああ・・・」
「抱きしめて・・・ヒイロ・・・」
彼女が睫を震わせ、俺の胸にすがる。
その細い身体を抱きしめる。
明日にはこの手を離さなければならない。


「・・・一緒に暮らすか?」
「え?」
彼女が顔を上げる。
「すぐには無理だが・・・」
「本当に?」
「お前が望むのならな」
「・・・あなたは?」
「・・・・・・」
「あなたもそれを望みますか?」
「・・・ああ」
頷くと、ふわりと彼女が微笑む。
それだけで、満たされる。

そんな夏の昼下がり・・・。

Fin