「青い鳥〜幸せへの扉〜」

第1話 

パタンと絵本を閉じる。
とっても象徴的・神秘的な内容の童話である
童話は嫌いではない。
小さい時、寝る前に母親によく読んでもらった。
“幸せの青い鳥”
いつか自分も遠く旅をして、その青い鳥を見つけるのだと、夢を見たこともあった。
今では遠い過去の夢。

幸せはお金では買えない。
本当にそうだ。
もちろん、世の中には、お金で買おうとする人もいるけれど。
本当の幸せは、きっと自分にしか手に入れることはできない。
そう思うのに・・・。
その幸せを手に入れる勇気は、どこにあるのだろう?

好き。
その一言を打ち明けるのに、どれくらいの勇気が必要でしょうか。

ねぇ、ヒイロ。
教えて。
この想いに、あなたは気付いている?
私はあとどれだけ、眠れぬ夜を過ごせば良い?

周りから見れば、並んで歩くわたくしたちは、恋人同士に見えるのかもしれない。
実際、雑誌に書かれたこともあった。
一瞬、どきっとした。
傍から見れば、並んで立つわたくしたちは“そう”見えるのかと。
けれど、彼の零した、ほんの小さな言葉に、その小さな胸の高鳴りは一瞬にして凍りついた。
“俺たちはそんな関係ではない。迷惑だ”
では、一体わたくしたちはどういう関係なのだろう?
こんなに側にいるのに。
誰よりも側にいるのに。

何故、こんなに悲しいのだろう。
それは・・・わたくしがあなたを好きだから。
たった、それだけのこと。
ただ、打ち明けないだけ。
お互いに抱く気持ちは一つだと。
勝手に期待しているだけ。
何て・・・悲しい。


仕事が頭に入らない。
重症だ。
彼のことばかり考えてしまう。
ごめんなさい、ヒイロ。
わたくしはあなたを好き。
だけど、それを打ち明ける勇気が無いの。

シーツが濡れる。
眠れない夜はまだ続く。

わたくしの青い鳥はどこにいるのだろう・・・?


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「あとがき」
これは、何となく「青い鳥」という題名で話を書きたいなぁと思って、ずっとネタ帳に入れておいたものです。で、冒頭で話の断片を引用してみました。
少し前からちょこっとずつ書き始めて・・・。んで、今日、最近、長い話書いてないなぁと思って、これを連載(長編)にしちゃえ、と急に思い立ちました。第1話を書くのにかなり時間がかかっているので(というか、エンジンがかかるのが遅かった)、完結するまでに長い時間がかかるかもしれません。または、私のことだから急展開でいきなり終わってしまうかもしれない。それは、書いてみないとわかりません。とにかく、頑張ります。

2005.5.30 希砂羅